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『マザーエルザの物語・終章 14』
――――ふっ、白昼夢?
 有希江は、苦笑を禁じ得なかった。白昼夢と言っても、常に夜のとばりは降りており、アポロンは、美女と同衾のすえ、疲れを癒やすために就寝中にちがいないのである。
 少女は、妹に、演技じみた視線を向けると、口を開いた。
「さ、お腹空いたでしょう? 有希江姉さんとごはん食べようか」
「・・・・・・・・」
 あおいは、水に浸かったお握りのような顔を姉に向けた。有希江は、彼女を見下ろしている。その目は、優しさに満ちている。
「ウウ・・ウ・ウ・・ウ・ウウ!!」
 思わず、嗚咽が漏れる。今更ながらに、自分が空腹であることを思い知らされた。ほんとうならば、満腹刺激に満たされた視床下部を、温かい布団のなかで、熟成させているはずだった。母親の提供する食事によって、身も心も温められたあおいは、幸福な夢を見ているはずだった。
 それなのに、血液から、リンパ液、果ては骨髄液まで凍らせて、絶対零度の宇宙を彷徨っている。
 それは、何故か?

「ウウ・ウ・・ウ・ウウウウ!?」
 あおいは、姉に抱き寄せられると、さらに嗚咽のトーンを上げた。全身を優しく拭かれると、気のせいかもしれないが、凍り付いた体液が、溶け始めるような気がする。そこまで行かなくても、停止した分子のひとつひとつが、動く意思を表明するように見える。そんな予感がする。
 しかし、姉の口から零れた言葉、言葉は、頑是無い少女にとって、完全に理解の範疇を越えていた。
「ふふ、これから、あおいは、自分で何もやっちゃだめだよ」
「・・・・・・・?」

 突然、降ってきた有希江の言葉は、それが錯覚にすぎないことを裏付けていた。
 一見、優しそうに見える目つきは、愛情というよりは、愛玩動物に対して向けるそれにしかすぎなかった。完全に見下したその態度は、けっして、妹に対して向けるものではなかった。いや、人間に対して発する視線ではない。
 あおいは、それに敏感に反応した。姉の視線の異様さに気づいていたのである。
 ここに、少女のプライドの萌芽を見ることができるだろう。それは、同時に成長をも意味していた。
 少女はしかし、そのことにはいっさい、気づいていなかった。
 
 有希江は、そんなあおいに、語りかける。
「まだ、泣いているの?」
「・・・・・・・・・」
 まるで、赤ちゃんにするような仕草は、少女のプライドや尊厳を踏みにじっていた。
 しかし、あおいは、それに対して、明確な態度を取ることが出来なかった。そのノウハウを持っていなかったのだ。
 できたのは、ただ口調のトーンを上げることだけだった。そのことによって、すこしでも不服の意思を見せようとしたのだ。しかし、それが、ガラスのように冷たい、有希江の頬を通過することができようか。
「う、自分で着れる ――――」
「何、言っているのよ、あおいは赤ちゃんなのよ!」
 やはり、誘蛾灯に惑わされた愚者のように、虚しく落ちていく。鈍い輝きを放つガラスの肌は、あおいの思いをはねのけるだけだった。
「だめよ!あんたは、赤ちゃんなんだから!」
 語気にまかせて、決めつけた。
 しかるのちに、有希江は、寝間着を少女の華奢な身体に通しはじめる。その姿は、まさに幼女を世話する母親のそれだった。
「おわかり? これからは、有希江姉さんが全部やってあげる。頑是無いあおいちゃんのためにね」
 
 頑是無いという単語の意味は、知らなかったが、姉の口調から、そのニュアンスは伝わってきた。本来ならば、その意味を聞いて、教養がないとやりこめられる。それが仲の良い姉妹の関係だった。外見的には、口を窄めていたあおいも、内心で満足していた。自分の立ち位置というものに納得していたのである。
 そこには対等な人間関係の萌芽が、見て取れたからである。しかし、現在の姉との関係は、完全な、人間と愛玩動物との関係に等しい。それは恥辱と屈従に満ちていた。
だが、完全な孤独への恐怖は、宇宙飛行士が恐れる闇黒へのそれに似ていた。

「完全なる黒。あえて、無と表現したくなるような ―――――」
 彼は、はじめて、宇宙遊泳を行うにあたって、それを見いだしたというのである。
 あおいは、同じような恐怖を自宅の中に見いだしていた。目の前の人物に、絶対的な屈従を誓わない限り、その中に放り込まれてしまいそうだ。
 自然と、あおいの取るべき途は決まっていた。

「ハイ・・・・・・・・」
 蚊の鳴くような声で、あおいは肯いた。さらに頬をとかすような涙がこぼれる。それは、確かに少女の精神的な成長を暗示している。有希江も、そこまでは気づくことはない。今、彼女は、ある快感に意識のすべてを集中させていた。それは、人間の生殺与奪をすべて握ることが出来るということに尽きる。
 それは人間の歴史が続く限り、普遍的な麻薬にちがいない。有形無形のすべての薬物の中で、この快感は絶品という噂である。
 他人を思い通りにできるということ。
 しかし、人を支配するのは、何も財力や武力だけに限定されない。
 人間の魅力や才能は、時として、特定の人物を縛ることがある。それは別名、愛という。この時、有希江はあおいをその名において、支配したくなったのである。
 
 しかし、それは意識的な動機から、発動した行為ではなかった。よもや、自分が、過去の怒りに突き動かされているとは思えなかった。
 有希江の記憶には、あおいを憎むような、具体的な出来事はなかった。
 それなのに、この憎しみはなんだろう。
 少女の中で、一瞬だけだが、混乱が生じた。しかし、それはすぐに消え去った。あおいの、あどけない顔をみていたら、圧倒的な憎しみが、愛情を勝った。
 しかし、この時、その記憶は大海のような過去に葬り去られて、その正体を明らかにしていなかった。
 ただ、情感だけが、蛇のように蠢いて、目の前の人物を罰せよと命じていた。
 酒好きの人は、詳しいことだと思うが、泣き上戸というのがあるが、あれは、具体的に何が哀しい対象があって、泣いているわけではないらしい。ただ、哀しくて泣いているのだ。一説によれば、酒によって柔らかくなった海馬が、哀しい記憶を小出しにしているとのこと。それは意識には昇らず、ただ哀しいという気分だけが、酔いどれを号泣させるらしい。
 その説の真偽はともかく、有希江は、自分ではコントロールできない感情の奴隷になっていた。そのベクトルは、可愛いはずの妹に向かっている。

――――裏切られた!
 そのように、まったく根拠のない記憶に基づいた感情が、少女の幼い肢体をナイロンザイルで、二重にも三重にも縛り付けている。その柔らかな肌には、あきらかな内出血が見られ、青黒い跡ができている。その様子は、痛々しく、涙を誘うのに、有希江は微笑さえ浮かべている。明かに、何者かに操られている。しかし、その本人はその自覚がない。
「成長期なのに、あれだけじゃオナカふくれないでしょう?有希江姉さんがたべさせてあげる、姉さんの部屋に戻ってなさい」
 あおいは、立ち上がると、指定された部屋へと向かった。その姿は、さながら墓場から蘇ったゾンビのようである。その手足からは、まったく生気というものが感じられない。その手足には、子供らしさというものが一切ない。か細いだけに、やけに骨のかたちだけが、目立つ。
 有希江は、妹を見送るとキッチンへと向かった。

 しかし、その狭い背中を見送ったのは、彼女だけではなかったのである。
「こんなところで、何をしているのよ!!」
 非常に攻撃的だが、無邪気な声が響いた。あおいは、びくっと全身の筋肉を震わせた。あたかも、 電流を流されたカエルのように、何度も身体を不随に動かす。
 しかし、なんとか声のする方向へと振り向くことに成功した。はたして、そこには彼女の妹である茉莉が仁王立ちになっていた。
 あおいは、ほぼ反射的に肉親の名前を口にした。それは、随意筋ではなく、不随意筋の発動だった。ごく自然に出てきたのである。それは茉莉の方でも同じだった。最初、姉を見つけたときには、別の表情を見せたのだが、次の瞬間、表情を一転させた。
意識して、般若の面を被ったのである。
―――あ、あおいお姉ちゃん・・・・いや、ちがう、これはこの家のドレイなんだわ!
これが少女に起こった感情の流れである。

「ま、茉莉・・・・・茉莉おじょうさま・・・・」
「何だって、何よ!その態度!?」
 茉莉は、あおいの呼び方に敏感な反応を見せた。自分の名前のすぐ下に、敬称がつけられなかったことに激怒したのである。
「ヒギゥイィイ!?」
 強烈な苦痛が、少女の小さな肢体を電流のように貫く。妹である茉莉の蹴りが、あおいの腰に炸裂したのだ。
「イヤ。許して!痛いッッ!!?」
 懇願の意思を即座に示すが、容赦はしない。子どもながらの残酷さを発揮して、あおいをサッカーボールに仕立てる。ちょうど、彼女は壁と挟まれているために、バウンドして帰ってきたところを、再び、蹴りつける。
 哀れな少女は、血を分けた妹によってその肉体を裂かれ、魂を焼かれる。肉体の痛みよりも魂に負った火傷のほうがより深刻だった。繰り返される暴虐の中で、少女は自分がやがて、球体に変形していくのを感じた。
 無色のはずの空気が赤く色づいていく。いや、自分こそが染まっていくのだ。やがて単なる肉の塊と化して、魂も、そしてそれに付随する意思をも消え去っていく。すると、苦痛も哀しみも恥辱も、消えていくのだ。

 幼い妹の口から零れた言葉は、あおいの想像を超えている。
「あんたなんて、死んじゃえばいいのよ!このブタ!」
「グググ・・・・!?」
 突如とした止んだ暴行と残酷な台詞が、皮肉なことに、幸せな夢想に区切りをつけた。そして、即座に柔らかな頬に、再度の暴虐が加えられる。
 そこは本来ならば、誰の足が置かれることがない場所のはずだ。本来ならば、自分の足さえ踏み入れることのできない場所。いわば、神聖不可侵な土地なのだ。
しかし、今、柔らかな牧場は、残虐な狼によって踏み荒らされている。しかも、その狼は、ついこの前まで、あおいが可愛くてたまらないと思っていた相手なのである。深窓の令嬢と言ってもいいほど、おとなしげな少女は、今やその牙に赤い血をこびりつかせていた。しかも、その血と肉は、自分のそれなのだ。

 事もあろうに、あおいは、妹に顔を踏み潰されつつある。他人に神聖不可侵な場所を侵害されるという意味においては、レイプと似ているかもしれない。
 茉莉に対しては、可愛いと思う反面、自分の思うとおりになる存在だった。少なくとも、そう見なしていた。あおいの見るところ、自分に対して服属していたはずなのである。
 しかし、そうは言っても、妹を力によって従わせるとか、いじめるということはなかった。みんな、自分の人望によって、従っていた。すなわち、自分のことが好きだから、家臣のように、寄り添っていた。そのように思っていた、いや思いたかったのかもしれない。どうやら真実は、後者だったのだろうか。
頬を不自然な形で圧迫される。そのことによって、起こる肉体的、あるは心理的な衝撃によって、あおいは、噎せ返る。

「ちょっと、家を汚さないでよ!汚いな!!」
 姉を罵るのに、べつの表現もあったろうが、あいにくと、9歳の語彙では、それが限界だった。だから、ペンの力よりは、剣のそれに頼るしかなかった。
「ゥギイィ!!!もう、あやあ、えてええええ!!やめてぇえええええェェェ!?」
 いったん、足に力を入れると、姉は、激しく泣きわめきはじめた。その勢いは、激しく、茉莉としても思わず足首を捻ってしまうほどだった。もちろん、それは錯覚にすぎない。しかし、上下が逆転した今でも、姉から受ける圧迫感は否定することはできない。それは、子どものころ父親から虐待を受けた青年が、大人になった今も、恐怖をぬぐい去れない。そのことと似ている。
 かつての父親は老人になって、目の前で寝たきりになっている。彼が、全く抵抗できないのは、理性ではわかっている。しかし、そんな父親に対して、身体に残る怯えを消し去ることができないのだ。

 茉莉は、それに似た感覚に支配されていた。しかし、あまりに幼すぎる少女は、それを認識することができなかった。どうして、自分が急に姉を憎みだしたのか、わかっていない。何やら、意味不明の衝動に駆られて、暴虐に走っているだけだ。それを止めることができたのは、彼女じしんの理性ではなく、姉の一言だった。
「茉莉ちゃん、もう寝る時間でしょう?ブタの相手をしている暇はないでしょう?」
「有希江姉ちゃん・・・・・・」
 茉莉は、そこのない優しさで、自分を見つめる姉を発見した。あおいは、頭蓋骨が破裂するような苦痛に呻きながらも、妹に嫉妬していた。そして、そんな自分を発見して、驚いていた。もしも、姉の声が聞こえるならば、自分を庇って、妹を叱ってくれるとばかり思っていたのである。




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