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新釈『氷点 2009』1
 青年がエンジンを踏むと、黒塗りの国産車はうなり声を上げた。それは生命の呼吸を思わせる。
 背後で扉が締まると意志の強さを感じさせる女の声が聞こえる。
「谷崎君、啓三のところね」
「え? もしかして、辻口 ――――さんとお知り合いなんてすか?」
 突然のことなので、敬称をつけることを忘れるぐらいだった。国選弁護人としてこの事件に係わろうとしていた矢先のことだ。そのために秘書兼、運転手である谷崎は、ある程度の情報を得ていたのである。
「啓三と彼の奥さんとは、幼馴染みよ」
「ということは、親友の娘を殺した犯人を弁護しようとしていたんですか?」
 悪魔の笑みを浮かべて口を開く。

「ベンゴを不必要にさぼって、死刑になるように細工をするとでも行っておけば納得すると思ったのよ」
――――怖ろしい人だ。
 谷崎は今更ながらに思った。いったい、何を考えているのかわからない。辣腕弁護士であることは痛いほどにわかっているが、その信条がどのベクトルに進んでいるのかわからない。そもそも彼女を動かす信念などと言うものは、存在しないのかも知れない。
 
 車は、しなやかに地下車庫から吐き出されていく。そのエンジン音はほぼ無音で、これが一般サラリーマンの年収ではとうてい購入できない代物であることを想像させる。
 しかし、外見では、それが高級車であることは伺えない。財前春実はそういうことを露出することを好まない。だから、谷崎に言って、それらの条件を満足させるような車を用意させたのである。
 春実は25歳。この若さでひとつの弁護士事務所をかまえている。父親が元弁護士でありそれを受け継いだということもあるが、それだけは、事務所を発展させることはおろか、維持することすら難しいだろう。
 それどころか、春実は、新進気鋭の弁護士として法曹界に飛び込んだ彼女は、まさに紳士の外見を纏った獣どもが獲物にヨダレを流すこの世界へと切り込んでいる最中である。
 父親の人脈がものを言ったこともたしかに真実だった。

「お父様は、あの若さで引退なさったそうですな、お嬢様はその若さで城持ちとは。財前さんにはお世話になりましたから、ごひいきにさせてもらいますよ」
 口では、白くなった髭をむやみに動かしていた老人たちだったが、その実、「小娘め」と完全に見くびっていることはあきらかだった。。彼の視線は、娘を通り過ぎて彼女の父親である元重鎮に注がれていたのである。
 しかし、彼女はただの小娘ではなかった。
 新進政治家の政治資金流用疑惑を見事解決したのである。それは彼女の華やかなデビュー作だったが、クライアントは春実と同じような立場だった。
 すなわち、父親の地盤と看板を承け付いて、見事というか当たり前のように議員の席を得たのである。
 ところが、それが初っぱなから躓いてしまった。政治資金流用の疑惑を掛けられたのである。当然のように離党、離職の憂き目にあった。当然のように起訴にまで至ってしまった。
 父親や支持基盤から見捨てられそうになった彼に、手を差し伸べたのは春実だった。
 彼女は自分の、というか元父親のものだった、人脈を利用して、事態を丸め込んだあげく、見事、無罪を勝ち取ることに成功した。言うまでもなく灰色の解決であり、見る人にはその内実が明かだったが、むしろ、それだけに法曹界における彼女の地位を保証したのである。そればかりか、政界の歓心をも得ることになった。
 たがが、20代そこそこの弁護士が、である。
 この時、北の大地、九州にあってたしかな第一歩を踏み出したのだった。いささか、灰色の翼を隠し持っての ―――ことではあるが。

 黒い車は、白亜の城に接近しようとしていた。
 街の中心に位置する辻口医院は長崎一円の中心的な医療を担っている。季節が季節ならば流氷が見える高台に、その建物が建っている。
 地方都市のために、他に高い建築物を見つけることが難しい。そのために見方によると長崎城にも見えないこともない。町民は半ば、尊敬、半ば、囃し立てる意味で、歴代病院長を『長崎城主』と呼んできた。
 現在の院長は、辻口建造がその身分を担っているが、病気のために息子に継がせる日も遠くないとみんなが噂している。病院関係者だけでなく、町の人たちにとってみても公然の秘密である。 
 その息子というのは啓三と言って、まだ27歳の若さだが、九大では、未来を嘱望され、教授連中がなんとしても大学に残そうと運動したが、昨年、故郷に帰還した。目下の噂では、結婚してまもない奥さんのことが心配だとか。しかし、彼女じしんのことよりも彼女の不貞が心配だったらしいとの噂も立っている。
 妻である辻口夏枝は大変な才媛ということで有名である。

「でも、アポしなくていいですか、先生」
 谷崎は病院の駐車場に車を入れながら言った。
「私と啓三の仲よ」
「でも手術してるかもしれませんよ」
「手術室に闖入してやるわ」
「せ、先生・・・・・」
 ―――血迷ったりすればそのぐらいのことをやりかねない。
 頭では、冗談だとわかっていながらも、谷崎はそう危惧する。今まで、さんざん見せつけられた行動力を考えればしぜんな考えだった。それがプラスのベクトルに向けば、効果は倍増だが、一旦マイナスに向けば事態はとんでもないことになる。
――――同時に外科の先生なのだな。
 しかし、同時にそのようにも考えた。
 ヘンに冷静な観察眼を併せ持っている運転手である。
 
 車のキーを捻るときには、もうずかすかと玄関を潜るところだった。まるで自分の病院のような勢いである。
「せ、先生!」
 まるで荒ぶる神を修める神官のような心持ちで、雇い主の後を追う。
 エレベーターに到着したときには、谷崎はふらふらになっていた。ハンケチで額の汗を拭う。
「運動不足ね、男のくせに ――――」
 すこし走っただけで息も絶え絶えになっている部下に文句のひとつでもぶつけようとしたところで、エレベーターのドアが開いた。
 中から出てきたのは、杖を携えた老人である。春実は親しげに声をかけた、

「ああ、びっこ先生」
「え? 春実ちゃんじゃないか。何処か悪いのかね? 君が?」
 まるで可愛い孫を見るような目つきである。それをうける春実はまさに孫に見える。
 このような春実の一面を、谷崎は始めて見せられた。感慨もひとしおである。
 まるで杖が頼られているのではなくて、杖に老人が付属しているようにすら見える。
「啓三君に用があるのよ」
 街の尊敬を一身に集めているこの老人に敬語を使わないのを興味深い目で見る。

「ああそうかい、副院長室におるよ」
「わかったわ」
 短く答えるとエレベーターのボタンを押した。
 老人がいなくなったところで、疑問に思ったことを雇い主にぶつけてみる。
「先生とびっこ先生は、ご懇意にされているのですか?」
「啓三たちとはきょうだいみたいにして育ったからね」
 春実は遠い目をした。
 この人にも少女時代があったのだなと当たり前のような感想を漏らした。
「どうしたのよ、不思議かしら? 私にも子供時代はあったんだからね。この大きさじゃ子宮を破っちゃうでしょう?」
―――なんて鋭い!
 谷崎は心臓を剣で貫かれたような気がした。話題を元に戻して逃げることにする。
「びっこ先生って昔からのあだ名なんでしょうか?」
「あれはねえ、若いころからそうだって話よ。なんでも戦傷らしいわ。南方らしいわ。でもそのおかげで帰還できたって哀しげに言っていたわ」
「哀しげに?」
「自分だけが助かったって、いつも陽気な先生が泣いてたっけ。お酒を呑んだときにはね」
 
 浅瀬からいくらばかりか、深い海を臨んだような気がする。自分は、財前春実という人間について何も知らないと思いしらされた。
 しかし、もっと不思議だったのは、殺された孫の話に言及しなかったことだ。それほどまでに深い間柄ならば、いや、他人どうしであっても定番の挨拶ぐらいあってもおかしくはない。
 いや、深い間柄なればこそ、ということもありえるかもしれぬ。

 そんなことを考えているうちに副院長室に到着した。春実は、ノックもせずに部屋に入っていく。

「誰だ!?ノックもせずに ―――うん、春実か?」
 始めてみる次期『領主』は、かなりの美男だと谷崎は思った。ハンサムという言葉から連想される語感ほどに冷たい印象はない。むしろ、美男という古くさい言葉の方が、この男性には等しいと思われた。その証拠に、論文を眺める難しそうな顔からも、仄かな優しさが漂ってくる。
 春実は、それをさらに和らげるように、机の上に腰を掛けた。二人が相当に懇意であることがわかる。
 難しい顔が春実を見つけると一変する。しかし、すこしばかり顔を赤らめると。わざと機嫌の悪さを演出する。

「何のようだ」
「ヤボ用よ、谷崎君、悪いけど席を ―――」
「わかりました」
「おい、悪いだろう、お前の従僕じゃあるまいし ――お茶でも」
「秘書よ」
 春実はまったく悪びれない。
「私はいいですよ」
「よくないって、安斎くん」
「はい」
 入室してきたのは和服が似合いそうな若い女性だった。清楚な仕草が谷崎の嗅覚を刺激する。
 谷崎は、その女性に連れられて隣室へと消えていった。

 彼を見送ると、春実は態度を一変させた。
「啓三、私は、許せないのよ、あの夏枝を!」
 まるで英語のシンタックスを日本文に移し替えたような言い方は、春実のどんな内面を暗示しているのか、啓三は計りかねた。
「今、思いだしても腹が立つ!」
 夏枝主催のパーティで発見してしまったのだ、こともあろうに、彼女と学校を出たばかりの若い医師が逢瀬をしているのを。
 いくら春実を信頼している啓三であっても、彼女からの伝聞だったら俄には信じなかったかもしれない。しかしながら、その現場に彼じしんが居合わせたとしたら。

「なあ、もしもオレがそこにいなかったとしたら、伝えたか」
「当たり前でしょう?」
「・・・・・・・・・・」
 啓三は、すぐには返答しかねた。
「お前が怒っても仕方ないだろう」
「そんなことはないわよ、私は一番の親友に裏切られたのよ、私は!!」
「お前、まさか ―――」
 気が付いたときには、親友の美貌が目の前にあった。こんなに間近に見るのは幼少期いらいである。当時は3人で一緒に寝たものだ。夏枝のそそのかしによって、啓三の寝顔にキスしたこともある。
 それから、しばらくそのことで脅迫されつづけたものだ。
 後で、建造にばれて、こっぴどく叱られたものだった。悪の計画は潰えたというわけである。
 思えば、あの老人が怒った姿を見たのはその場面が最後だった。
 しかし、今の春実にはそのようなノスタルジーに満ちた子供時代などは、思い返す気にもならない。
 
 愛おしい人に唇を重ねようとして、身体を寄せたが、意を決したように背中を彼に向けた。
「・・・・・・・・・・」
啓三はその続きを音声にすることができなかった。何よりも、彼女のプライドを護ろうとしたのである。 もう過去は戻らない。
「啓三、何も言わずに私の計画にうんと言ってちょうだい」
「計画? 何のための!?」
「夏枝に復讐するためよ!!」
「・・・・・・・・!?」
「これを見てちょうだい、国選弁護人として、私は選出されたの」
「君が、国選かい?え?!」
 啓三は、心底驚いた。胃の底が抜けるかと思った。それな何あろう、左石陽蔵の弁護依頼の書類だったのである。
「お前、これを承けるつもりだったのか?」
「まさか」
 春実は息をついて、再び口を開いた。
「下の書類を見て」
「何? あいつに娘がいたのか、三歳?」
「そこの愛児院にいるわ。その名前に憶えはない? それで、私は弁護士なのよね」
 
 二つの文章はまるで関連性がないと思われた。しかし、啓三と春実の身分を知っている人間ならばその隠された意味を推測できるはずである。
「夏枝は、娘が欲しいって泣き叫んでいたわね。もう自分は子供が産めないからって、もうひとり娘が欲しいって ――――忘れないでね、私は弁護士なのよ」
 春実は、悪魔的な微笑を浮かべた。この時、彼女は、これから自分が行うはかりごとによって、どれほどの重荷を背負うのか、激しい憎しみのために未来を想像すらできない状況に陥っていた、この人並み外れて知的な女性が。







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