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『新釈氷点2009 3』
 家族を見送り終わった夏枝はしばらく空を見ていた。蒼天という言葉はこのためにあるのだと思わせるくらいに、透けるような青空が広がっている。
――――これから、ずっとこうだといいわ。
 自分に言い聞かせるように、空に視線を遣ると、人の背の二倍くらいはある板チョコのようなドアを閉めた。
 玄関を入ると客人は正面にある絵画に魂を奪われることになる。キュビズムと言うべきか、それともシュールレアリズムなのか、大抵の客人は評価に苦心することになる。
長崎城主の邸宅ともなれば、客人の数は、普通の家の倍増しとなる。彼らは、この絵をどう批評しようかと頭を悩ませる。
 ところが、彼らは総じて同じ感想を持つ。
 それは、この絵が醸し出している圧倒的な幸福感である。

 同時に、女主人の笑顔を見ると救われるような気分になる。同時に、彼女の娘がいたとすれば、それは完全なものになるだろう。ちなみに、彼女は絵の制作者である。もっとも、その年代はほぼ10年前という断りがつくのである。
 言うまでもなく次女である陽子が描いた幼児画である。両親と姉である薫子が楽しげに並んだその絵は、ひとつの幸せな家庭を余すところなく表現しきっている。誰しも、その絵がこの家庭のフラクタル図形になっていることを思い知る。言い換えれば幸福の雛形になっているということになろうか。
当の陽子は恥ずかしがるのだが、夏枝は来客の度に、それを紹介するのだった。あたかも、自分の家の幸福を喧伝するように。

 玄関から90度曲がって、回廊が続く。その設計は、あたかも、この絵が飾られるために為されたかのようだ。
 この邸宅は陽子がこの世に生を受ける以前から建っているのだから、当時の建築家がそれを予見していたとしか思えない。
 それほどまでに、この絵は建物に溶け込んでいたのである。ほぼ同一化していると言っていい。

「・・・・・・・・」
 夏枝は、意味ありげに微笑を浮かべると履き物を脱ぐ。良家の子女らしく、優雅な手つきでそれを整えて置いた。
 鈍く光る皮は、彼女の複雑な心理をぼんやりながらも描写しているようで、気持ち悪くなって思わず目を背けた。あたかも、罪を犯したばかりの人間が鏡で自分の顔を仰ぐようなそんなイメージである。
――――別に、私は犯罪者じゃないのに ・・・・・・・・・そうだ、今日は電話が。

  その時、ルルルルルという電話の呼び出し音が響いてきた。まるで、彼女の心理を読み取ったようなタイミング。まさに、その相手らしいと受話器を取りもしないのに、勝手に相手を決めつけていた。
はたして ――――。
「春実でしょう?」
「え? 夏枝? またわかちゃった?」
「またまた、人を超能力者みたいに ―――」
 夏枝は、さきほど流行のSFアニメを思い浮かべた。陽子から又聞きしたのだ。学校でも流行になっているらしい。
「夏枝のエスパー能力は廃れないようね。昔は、おにぎりの中身を当てたりとか ――」
「偶然だってば ―――」
 普段は見せない笑顔をこのときとばかりに発揮する。もっとも、今、彼女以外に、この広い邸宅にいるのは猫の、ピエトロだけなのだが・・・・・・・・。優しい母親の姿しかしらない陽子にとってみれば、こんな彼女の姿は意外かもしれないが、けっして、単なる良家の子女に、その性格は留まらないのである。
 普段は、誰もいないとはいえ、簡単に油断した顔などを晒すようなマネはしない。愛娘の絵が視線に入ると、すこしばかり表情を整えて口を開いた。

「今頃、あなたから電話があることは、わかっているのよ。毎年のことだし ――――」
「そうだね。薫子ちゃんはどうなの」
「あの子なら、定期的に行っているみたいだし ――――それに」
「あまり大がかりにやると、ばれちゃうか ――――」
「お春ちゃん?!」
 夏枝は、声に感情を込めた。怒りを親友に対して表すとき、決まってこの幼名とでも言うべき呼び方をする。別に、彼女が嫌がるという理由でもなさそうだが、その由来は、本人でもわからない。
「電話じゃ、詳しく話せることじゃないけど、さ、いつか ――――だよ。あの子、あなてに似て、見かけによらず勘が鋭いからさ」
「うん ――そうだけど」
 心配げに、再び絵に視線を戻る。それを止まらせたのは、親友の次のような台詞だった。
「これから、あなたの家に行っていい?」
「春実?!」
 何故か、親友に今の自分を見せたくなかった。しかし、別に断る理由も見あたらないので ――。
「わかったわ。だけど仕事は? 今、何処にいるの?」
「諫早駅前の喫茶店。車で五分ってところかな。大丈夫よ、それでいつも子連れてくるの?」
「夏枝、未だに子もないじゃない? 少なくとも、私の夫なのよ、ははは。」
 
 当時としては大変珍しいできちゃった婚だった。そんな言葉すらなかった時代のことだ。それに、春実は、夏枝に劣らず良家の子女なのである。城下町は噂でかまびすしかったが、そんなものにへこたれる春実ではなかった。
 ちなみに、その時に産まれた娘の永和子は陽子の親友である。
「じゃあ、切るね ―――」
 夏枝は、アールデコ的な意匠に彩られた受話器を置くと、しばらくそれに両手を添えた。機械がその重力に悲鳴を上げて、はじめて、電話を壊しかけた自分を発見して、苦笑した。
――――こんな顔はとても娘たちに見せられないわね、春実にだけで十分。
「ま、お茶の準備くらいしてあげなきゃ ――――」
 そう言うと、夏枝は紅茶の準備を始めた。ダージリンの一風変わった品である。口ではそう言うが意外にはりきっている城主婦人であった。

 ものの、五分と係らずに、女弁護士はやってきた。
 ちなみに、夏枝が子呼ばわりした谷崎はいなかった。

「クビにしたのよ、育児役に再雇用したわけ ――――」
 自分の首を手刀で切るマネをして、笑っているのは、言うまでもなく財前春実弁護士である。結婚を再雇用などと言うのは、まさに春実らしい。
 「まったく、まだ用意も出来ていないのに、まあ、いいわ。いつものところで座ってて」
 親友をリビングに押しやると、自身はキッチンに戻って、自家製のレモンケーキを切り分け始めた。

 春実は、言われる通りにリビングに向かう。両家は家族同士の付き合いをしてきたので、かつて知った家と言って良い。
 12畳ほどのリビングの中央に降りるシャンデリアやコの形に配置されたソファは、ここが、家族のための部屋であることを暗示している。それら記号としての家族はたしかに機能している。しかし、その実情はどうか。親友の目からすると、それなりに機能しているように見える、それはそれでいいのだが・・・・・・。
 いつまでその状態が保全されるのか、大変心配である。
もっと、懸念されるのはその種を蒔いたのが自分だからだ。
「12年か ――――」
 しみじみと春実は、部屋を見回す。こんな大邸宅の割に、こぶりのリビングである。全城主である建造に言わせると、「家族の団欒のためには、このていどの大きさがちょうどいい」ということになる。もっとも、この家に招待される一般市民からすると、その考えに首肯する気にならないだろう。
 それにしても小綺麗にしているのは、さすがに、専業主婦の鏡である夏枝の面目躍如ということだろう。これが春実ならそうはいかない。家庭のことはほとんど夫に任せている。
 沈思黙考していると、レモンの甘酸っぱい匂いが漂ってきた。

「春実、何しているのよ、座りもしないで ――」
「そうね」
 ハンドバッグを膝の上に載せながら体重を荘重なソファに預ける。その仕草がいかにもおもしろかったのか。カラカラと笑う。
 不満げな色を綺麗な形の頬に乗せる
「何よ」
「妙に他人行儀だから」
「弁護士なんてやってると誰でもそうなるわよ、いやでもね。そうだ、本題に入ろうか ――」
 話題を転じようとすると、とたんに夏枝の顔が曇った。
「いい加減に真相を告げなさいよ、陽子に」
「・・・・・・・・・・・・・・」
夏枝は黙りを決め込んだ。
――――真相ね。
 我ながらよくもそんな単語を舌の上に載せられると感心させられる。しかし、あえて言わねばならない。

「鋭敏なあの子のこと、きっとおかしいと思っているわよ。いかにこの土地の人が古風で、口が堅いって言ってもね。旧い新聞を調べられたらアウト。今まで、あの頭の良い子にばれなかったのは奇蹟と言ってもいい ―――もしかしたら、すべて知っているのかも」
「お春ちゃん!?」
 気色ばむ夏枝。
「あなたに何がわかるのよ! どれほど気を遣ってきたか。私だけじゅない、あの人や、薫子も ―――」
「それをうすうすとわかっているって言うのよ。具体的にはわからなくてもね」
春実の言うことはわかる。しかし、それが正論ゆえに腹が立つのだ。これまでどれほどあの子のために骨を折ってきたか。
「あの子が、ルリ子が ―――」
 春実は目を見張った。あの子というニュアンスがすこしばかり違う。
「ああいうことになって、すぐに、妊娠だなんて不自然でしょう?!」
 自分の論理がいかに不自然か、すぐれた知性に恵まれた夏枝がわからないということはない。自分で言っていて不思議だった。どうして、ここまでルリ子の存在を陽子に隠匿してきたのだろう。あの優しい子のことだ。あまりに可哀想な死に方をした姉のことを心から供養するにちがいない。たとえ、一回も出会ったことがなくても ――――。

 たしかに啓三の意見もあったが、忘れたかったのだ、あのような悲劇があったことを! そして、あの時抱いていた珠のような赤ん坊に、影響を与えたくなかった。それほどまでに、赤子の温もりに触れた瞬間に、愛情を感じたのだ。
しかし、そうであっても、ルリ子のことを忘れたわけではない。そんなことはありえない。一時であっても、あの子ことが脳裏から消え去るなどということはない。陽子はあの子の代わりではないのである。
 もっとも、怖ろしいのは、自分の醜さだった。
 本当に、大事だったのは身の保全ではないか。
 やはり、あの出来事を嘘にしたかったのだ。だが、そうなると矛盾する ―――――。
 夏枝は頭を抱えると、ソファに伏した。そして、声に泣き声をしのばせた。

「そうよ、どうしたらいいのかわからないの。言うべきタイミングを失ってしまったのよ、いまさら ―――」
「夏枝、陽子は家族でしょ!」
その言葉に、母は飛び上がった、あたかも、身体の中にバネがあるのではないかと、春実に錯覚させたぐらいだ。
「当たり前でしょう!? お春ちゃん!!」
 夏枝は寄り添ってきた春実にしがみついて抗議した。しかし、それこそ親友が望んだことだった。
―――ワタシ、悪魔ね。
 本当に泣きわめきたかったのは、春実である。自分が侵した罪を考えると、胸が張り裂けそうな気がする。しかし、あの時、自分を裏切った夏枝に対して反感を持っていたのは事実である。それは今も影響しつつある。
 複雑な気持を孕みながら、春実は夏枝を抱き締めた。その身体に流れる血潮を感じるとやはり、罪 悪感に身を焼かれる。その流れは、ツライ、ツライ!と言っている。

「夏枝、ごめんなさい。でも、私だって簡単に言っている訳じゃないのよ、考えて欲しいって ―――――」
 春実の声を遮る何かが、その時、空間をまっぷたつに引き裂いた。扉が開く音と、哀しいまでに高音の金切り声。その不思議な二重奏は、春実の耳には死刑の通告に聞こえた。
「ルリ子って誰? はあ、はあ・・・・・」
「よ、陽子!?」
「陽子ちゃん・・・・・・」
 かたつむりの身体と殻のようにふたりは一心同体のように、陽子は見えた。しかし、その姿は涙のだめにぼんやりとなっている。まるでセザンヌの印象画にしかみえない。この世でももっとも信頼しているはずの二人が自分に何を隠しごとしていたというのだろう。
「どうしたの? お昼前よ ―――」
何故か、冷静な言葉が出てくるのが不思議だった。朝、弁当を持たせたことが一秒前の出来事のようだ。
「忘れてはいけないものを忘れてしまったのよ、お母さま ――――。それよりも、ルリ子、いや、ルリ子さんって誰?」
 陽子の怒った顔に久しぶりに出会った。何処か哀しげな色を整った顔に乗せる。その時、上品な鼻梁は小刻みに揺れて、いささかなりともピンクを帯びる、そして、大きな瞳は涙に揺れている。まるで黒曜石だ。
――――総てを悟られた。
 ふたりは心の内をすべて見抜かれたように思えた。ただし、両者にとっての真実とはその色合いを異なるものにしている。意味合いが違うのだ。
だが、夏枝は踏みとどまった。ここはもっとも大事な宝箱を開けてはならない。それはパンドラの箱なのである。
「ルリ子はねえ、ルリ子は・・・・・・・」
「お母さま?!」
 しかし、陽子は只ならぬ母親のようすに表情を変えた。怒りの武装を解こうとしていた。一言、発するたびに、身体中の痛覚が刺激されるようだ。それは、しかし、陽子にも伝わっていたのである。
愛する母の苦痛が我が事のように感じられる。しかし、ここで垣間見てしまった真実に背中を向けるわけにはいかない。
「?お母さま? その方は?」
「ルリ子はねえ、あなたのお姉さまなのよ」
 この時、はじめて、茫然自失の春実は意識を取り戻した。冷静沈着な本分を発揮させようとする。親友の重荷をかづくことにした。
「あなたのお姉さんは、殺されたのよ。あなたが産まれる前にね」
「お春ちゃん!?」
 
 はじめて、春実のことをそう呼ぶのを聞いた。ただでさえ親しい間柄だが、目の前のふたりは姉妹のように見える。
 しかし、今はそんなことはどうでもいい。今は、再び蘇ってきた憤怒の感情に身を委ねるだけだ。
「なんで ・――――、私は、知らないの? か、薫子お姉さまも知ってるんでしょう!?」
 歳柄にも遭わない大人びた上品さをかなぐり捨てて、単なる12歳の童女に戻っていた。
「私は ―――、私は ―――??はあはあ」
 まるでフルマラソンを始めて走りきったランナーのように、息を乱す陽子。夏枝は、我が子を抱きしめたくなった。しかし、身体が動かない。全身が麻痺している。
 激しい憤怒と自責の念で身体が張り裂けそうになった。
 自分が産まれる前に殺された? しかも、それを知らずにぬくぬくと育ってきた。お母さまや家族を独占して? そんな自分を許せなかったのである。そのことを自分に隠してきた家族に対する憤怒よりも、自責の念が凌いだ。

「ウウウ・ウ・ウ・ウ・ウウウ、うう。お、おかわいそうに、ルリ子お姉さま・・・・ど、どうして、殺されたの!?」
床に伏して激しく泣きじゃくる陽子。夏枝は、このまま彼女をこのままにしていたら、異なる次元に飛ばされてしまうのではないかと危惧した。
「陽子ちゃん、ルリ子は、ねえ、ルリ子は・・・・」
 ようやく、身体の自由を取り戻した夏枝は、覆い被さるように愛娘に辿り着く。
一方、春実は自分のすべきことを思いだした軍人のように、任務に足を踏み出そうとする。
 陽子のピアニストのような手を摑むと、大人の口を開く。
「それは、聞いちゃだめ。陽子ちゃん。そうすると、みんなが傷つくことになるわ。きっと、夏枝はもう生きていけないわよ。約束してちょうだい。16歳になるまで詮索しないって ――」
「おばさま ――――」
 陽子の手はとても冷たかった。凍りついているのではないかと、思った。しかしながら、16歳などという年齢を持ち出すところ、自分は法律家なのだと思った。
――――とんでもない悪徳弁護士だ。
 凍りつきそうな美少女の手を必死に温めながら、春実はそう思わざるを得なかった。





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