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『地下貯水槽 序』(18禁バージョン)
「本当に、かすみちゃん、中受験するの?」
「するより、仕方ないよ」
 闇の中にぼっと浮き上がる親友のすがたはかつてのリーダーという外見からは完全に遠い存在となりおおせている。地下貯水槽のなかを伺うその姿は、猫のように背中を曲げて、分厚いコンクリートに身体をすり合わせているのだが、憐憫すら感じさせる。かつての彼女はこんなではなかった。
 仁澤かすみは、安住喜美にとって大袈裟にいえば理想とでもいうべき存在だった。それが別人のようになってしまい、見るも無残に打ちひしがれている理由はクラスにある。
 地下貯水槽とは、彼女たちが住んでいる地域にある巨大マンションに付属した施設であって、建物全体にポンプで飲料水を供給している。
 外から入ってくるかすかな光によって、貯水槽に水がはいっていることぐらいはわかるが、奥まで侵入できないので、底まではとうてい伺いしれない。
 マンションにとっては大事な施設であって、得体のしれないもの、たとえば汚物などを混入されでもしたら衛生問題にすらなりえる。だれでも入れるような状況にしておくわけにはいかず、しっかりとした専門の人間による管理が必要となる。
こんなところに子供が侵入できるわけがない。鍵が必要なのだが、かすみだけはそのありかを知っていて、しかも、自由にできた。それは彼女だけに与えられた権利だった。あるとくべつな理由からマンションの管理者からその権利を付与されているのだ。かすみは知らないことだが、その秘密を喜美は知っている。

 かすみは、小学校6年生にしては背が高く他よりも、生、性、両者に渡って成長が早いと言えるだろう。小学生にしては胸は膨らんでいるし、腰もくびれている、しかしながら、「小学生」特有の体型という造形を超えているというわけではない。
それよりも人の目を引くのは並はずれて優れた容姿だ。
本人はそれを突っ込まれると嫌がるのだが、美貌は親から人間離れしているとまで言われたほどである。
そんな彼女がクラスの女王の座にいることは、本人が意識的に望まなかったとしても、ごく自然なことだった。いざ、その座を奪われるということになると、精神は恐惶をきたした。自分が恵まれている状況にあるとすら想像できなかったようだ。玉座が揺らいで初めて王冠の重さに気づいた、というところだろうか。

 いま、彼女たちのクラスでは2つのグループが対立している。ひとつは、いうまでもなくかすみをリーダーとする多数派。もうひとつはそれに反抗する新興グループである。
一般に挫折を知らないエリートはいざ、自分が対応できない困難に出会うと簡単に躓いてしまうという。
彼女の前に立ちはだかった少女は、簡単にかすみの自信をぼろぼろにしてしまったのである。
その理由があまりにも単純だった。
 それは、クラスの女子が何故か集中して住んでいる巨大マンションから一戸建てに引っ越したことである。羨望からか、嫉妬からか、まず仁澤家をハブいたのは、彼女らの母親だった。
 マンションから送るときには盛大なパーティを開いたにも関わらず数日経ったら、手のひらを返したように態度が変わっていた。それを見て学んだ子供たちの一部がクラス内の新興勢力に賛意を示した。クラスの圧倒的多数ではなかったが、クラスメートたちに、この世には、教師ですら一目置く存在である仁澤かすみにアンチテーゼを示す存在がある、そのことに賛成でなくても少なくとも存在することを示した。
その行為からくる影響力は、行為者の想像をはるかに超えていた。すぐに効力は表れなかったが、潜在的に存在していた反かすみ派閥にある種の酵素の役割を果たしはじめたのである。
酵素とはある種の化学変化を促進する役割を果たすが、そのとき、教室の水面下で起こっていたことはそういうことだった。

彼女らにとってかすみは絶対的な存在だったのである。明らかに、彼女らの中で新興勢力に心をグラつかせる子たちが出てきていた。かすみはそれに気づいて疑心暗鬼になってしまったのかもしれない。
ちなみに、そのグループを率いるのは讃岐良美という少女である。
 
 この時点においては、喜美は親友に反旗を翻すなど想像だにできなかった。
 かすみは、喜美とかつての親友だった芹沢鏡花と蟻巻きい、を率いるリーダーであり、この地下所水槽にも4人でよく遊んだものだった。
 彼女は、この3人だけにとどまらすクラスでもリーダー的な存在だった。それに比べると安住喜美は、成績では負けないが、じつに控えめでおとなしい、クラスでも目立たない存在だった。
 そんな彼女が、心変わりするにはあるきっかけが必要だった。以前から仄めかしていたのだが、今、彼女はそれを実行するという。
 かすみが中受験する決意を固めたことこそが、喜美にとって許しがたい裏切りと映ったのである。それは憧れてきた親友が戦場逃避しているように見えたのである。
 しかし、そんな内心などオクビにも出さずに言葉を続ける。
「本当にいいの?もう間に合わないかもよ」
「学校を選ばなければ大丈夫だって、先生は言ってたし・・・」
「鏡花ちゃんだって、きいちゃんだって、それに・・私だって、かすみちゃんを信じてるんだよ」
 まるで逃げるみたい、という言葉を呑みこんだ。
 いつの間にか、キリキリという音がうすぐらい地下空間にくぐもっている。その音はあきらかに喜美に対して何か急かしているような気がする。
かすみは鍵で床を引っ掻いている。
「怖いよ、喜美ちゃん、たがが家を引っ越しただけで、どうしてあんなことになるの?」
同時に涙を帯びた声が絡み付く。
 これから、もっと、泣くことになるんだよ。中受験なんてぜったいに許さない。失敗させてやる。親友を、精神的な点においては言葉で慰めながら、具体的な行動という点においては、両手を広げて上から覆いかぶさりながら、少女は裏では舌を出していた。
「うう・・喜美ちゃん・・・」
 驚いた。このような無礼をむざむざと許すような彼女ではなかったからだ。平手打ちくらいは覚悟していたのだ。
 何の抵抗もなしに、かすみは華奢な喜美によって両腕の中に納まっていた。長い髪からはいい匂いがした。おそらくシャンプーかリンスによるものだろうが、こういう時に嗅ぐ香りは普段とはちがう色に彩られている。
 彼女は、まるで幼い娘が母親にそうするように、喜美に身体を預けていた。そして、小刻みに震えだしたのだ、最初こそ声を殺して泣いていたが。しだいに嗚咽を押えられなくなっていた。
本当に打ちひしがれているのだ。あのプライドの高い親友が、こんなに日弱な自分に支配されている。この事実に喜美は混乱した。極端なことをいえば、それにはたぶんに被害妄想も含まれていただろうが、革命によって奴隷がいきなり王様に戴冠させられたものである。普段から祖の地位に焦がれていても、いざ、それを得ると困惑してしまう。自分がその地位にふさわしいか疑問を抱くのだ。しかし、奴隷然となったかつてのリーダーを見下ろしているうちに、喜美の中で何かが変わっていく。彼女の中で何かがはじけたのだ。
「かすみちゃん・・・・・」
 親友を引き離した。そして、じっと親友の顔を改めて見つめてみる。
光が外から零れてくるのだ。月光のような明かりに照らし出されて端正な顔が闇にあってもくっきりと見て取れる。
 
 そんな彼女を自分の思う通りにしたいという欲求が、それも自分だけの人形にしたいという欲望が、喜美のなかでふつふつと浮かんできた。
 それは彼女の頭の中でひとつのアイデアとして結実した。いままで決心していたことに変更を加えることにした。彼女を陥れることには変更しないが、あくまでも自分だけの奴隷にしたくなったのだ。しかも、その上でクラスから孤立させる術策も浮かんだ。このふたつの条件に横たわる矛盾を整合させる方策を思いついた。
 それは「秘密」をみんなに明かすことはでなくて、本人の前に提示してみせることなのだ。
「ねえ、か、かすみちゃん、私、かすみちゃんの秘密を知ってるよ」
声が上ずっているのはわかったが、いっきに言い放った。これまでの立場を逆転させるのだ。革命を起こす。相手がここまで打ちひしがれている、そういう絶好の機会を失していつ欲望を実現するのだ?
「な、なんのこと?何を言っているの?」
 いつものプライドの高いかすみに戻っていた。しかし、ここで負けるわけにはいかない。あきらかに相手は動揺している。ここは畳み掛けるべきだ。
「どうして、かすみちゃんが鍵を手に入れられたか、私は知ってるよ、小父さんでしょ・・!?」
 言い終わると同時に喜美は絶句した。殺されるような気がした。それほどまでに恐ろしい目で睨まれたからだ。自分は奴隷で彼女は主人という立場を否応なしに思い出してしまう。しかし、もう、自分はいままでの安住喜美ではないのだ。ここはなけなしの勇気を振り絞るしかない。
「その鍵、小父さんとエッチなことをしてもらってるんしょ?」
言い終わると同時に、いや、少し早かったろうか、リーダーの手が飛んできた。しかしながら、それは寸でのところで止まった。手のひらの温度が頬に飛びつく、それほどの至近距離で固定している。
 殴られる!やっぱり、自分はこの人の奴隷なんだ。永遠にそれは変わらない。そう思った。確かに眼球が潰れるような圧力で目をつむった。しかし、頬は打たれない。断っておくがいままでいちどもかすみから手を上げられたことはない、たぶんに被害妄想がかすみに対する感情に影響していたことは後の本人も認めている。
 さて、一瞬で凍りついたかすみは、ようやく口を開いた。
「い、いったい、何を知ってるの?」
 双眸には夥しい涙があふれている。
 「たまたまかすみちゃんと小父さんがここに入るのを見たの」
「しかし・・鍵が」
 「たぶん、かけ忘れたんじゃないの?入れたよ」
「じゃあ、全部、見てたの?」
 言い終わるなり、喜美に背中を向けたかすみは、コンクリートに自らの頭を打ち付けた。
「お、おねがい、誰に言わないで!」
 証拠など必要はなかった。クラスのだれしもふたりの深い関係を知っているからだ。おそらく、喜美の言うことなら信用するだろう。かすみはそれを理解しているのだ。そして、喜美もそれをわかっていて次の段階に移った。
「わかったよ、かすみちゃん、だけど条件があるの」
「・・・・・・?」
 振り返ったリーダーは、再び自尊心などあさっての方向に投げ去った顔をしていた。非膝をついて、まるで喜美を神様の像のように拝んでいる。さすがにここまでくると興醒めだが、続ける。
「讃岐さんに、みんなの前で謝ってほしい」
「そ、そんな・・・・・」
 再び、自尊心の色が美貌を彩り始めた。しかし、それを一気に消しにかかる。喜美は、足先をかすみの股間に突っ込ませたのだ。予期出来ない親友の動きに身体のバランスを崩した少女は、冷たいコンクリートの床に転がった。しかし、情け容赦せずに少女の股間をぐいぐいと踏みつける。
「いやあああああ!やめて!喜美ちゃん!!いやぁあ!」
喜美は、例の管理人がかすみに対してやっていることを真似ているだけだ。ついでに言うと、「オマンコ」などという言葉も小学生である彼女が知っているわけがない。 
「オマンコって言うんでしょ?かすみちゃんはエッチだから、ここをいじられると気持ちよくなるんでしょ?」
 さらに服の上からだが、かすみの股間に向けて足先を突っ込ませる。
「いやあああ!!」
 だが、しかし、かすみと喜美の体格差からすれば、抵抗するのは簡単なことである。簡単に引き離された。
 「いいの、デジタルビデオで映像だって撮ってあるんだから」
「・・・・?!」
 「みんなに観てもらおうかな」
「わ、わかった、讃岐さんに謝るから・・・・」
「だけど、その前にしてほしいことがあるの・・・」
 喜美はかつてのリーダーを睨み付けた。
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テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト

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