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『由加里 46』

  由加里の目に飛び込んできたのは、赤い車だった。その車体は、妖しく煌めいてきた。まるで、魔女然として、やってきた。

――――あれにぶつかれば、死ねる。

  少女は、涙にまみれながら、身を投げた。
 衝撃。
 強烈な、衝撃だった。身体が、何処かに持って行かれるような気がした。見えざる巨大な手に、摑まれて、躰をもがれるかと思った。しかし、既に、いじめっ子たちの身の毛のよだつ行為によって、身も心も、十二分に、切り裂かれているのだ。それが、実際に肉体に起こっても、おかしくはなかった。

―――もうどうでもして!

  それは、幼稚園児に、放尿シーンを見られて、笑われたときに、思ったことだった。しかも、それが嘲笑ではなく、本当に、同情からの笑いであることを知って、由加里は、本当にショックだった。完全に打ちのめされた。人間としての生は終わったとさえ、思った。
 由加里は、完全に崩壊してしまったのである。心が死ねば、人間は死んだも同然である。肉体が死んで何が悪い。
  しかし、次の瞬間、少女の中で自尊心がその息吹を失っていないことが証明された。愛おしい家族の顔が見えた。

―――ママ、パパ、冴姉さん、郁子!
 由加里の華奢な身体は、時空を歪ませた。猛烈な爆裂音とももに、少女は肢体を飛ばされる。その時、彼女の脳裏には、愛する者たちの映像が転がり込んできた。そのとき、由加里は、まだ破壊されていないことを自覚させられた。

―――海崎さん、鋳崎さん?
同時に由加里を、精神的、肉体的、あるいは性的にいじめ苛んできたふたりが見えたのはどういうことだろう?
 由加里は、再び、襲ってきた失意の中、改めて、死んでしまうのだと思った。

―――これが、死っていうこと? 私、消えるの?
その時、由加里の耳をつんざくような声が飛び込んできた。
「――――あなた! しっかりしなさい!え?!ゆ、由加里?!由加里!由加里ぃ!!」
「え?!ママ!!ち、違う!この声!」
  消えゆく意識の中で、由加里は誰か知らない女性の声に、抱かれていた。しかし、それからは、とても懐かしい匂いがした。その声は、何処かで聞いたことがあった。その肌触りは、記憶に残っていた。そう、由加里の肌に記憶として、その欠片が縫い込まれていた。

 ――――あはははは、由加里ですよ、あなたの名前は西宮由加里ですよ、私、西宮百合絵の娘、由加里ですよ!
 その記憶は黄金に彩られて、柔らかな温かみに包まれていた。

――――ほーら、ごはんの時間ですよ
 由加里の口の中に、赤い突起物が優しく、入り込む。中からは、得も言われぬ美味な液体が零れてくる。それは、生命の輝きに満ちていた。惑星の輝きでなく、それ自体が輝く、恒星の輝きを有していた。

――――由加里!お姉ちゃんですよ!由加里、こっち、向いて!
由加里をあやすのは冴子だった。まだランドセルを背負ったばかりの、ほんの少女のころだ。
輝く記憶の中で、冴子姉は、ただ優しく温かだった。しかし、それも一瞬で闇の中に埋もれてしまう。

――――え?誰?
由加里の目の前に、見たこともない人物がいる。
―――さ、冴子姉さん!ち、違う!?

 姉にしては、年齢が違う。何よりも、その目つきが違うのだ。ほぼ、本能的に、少女は口から言葉を出していた。

―――オカアサン!え?一体、今、私は何を!?
「あ、あなたは誰?」
「由加里!」

 少女をファーストネームで呼ぶのは、もはや家族しかいない。友達がひとりもいなくなった今、学校では、由加里は「西宮さん」にすぎないのだ。
 便宜上つけられる敬称は、このさい、少女に対する冷たい卑称に過ぎなかった。それは、テニス部の後輩たちが、未だに、由加里のことを「先輩」と呼ぶのに似ていた。それは、高田が意識して、そう呼ぶように命じていたようだが、その効果を知っていたのだろう。

―――――ああ、そんなこと考えたくない!学校のことなんか、全部忘れたい!どうで、死ぬときくらい、楽しかったことだけ思い出させてよ!え?全く出てこない。思い出せない。私にとって、産まれてから中一までの記憶は全部、嘘だっていうの?いじめられ、さんざん辱められた数ヶ月が、私のホント姿だっていうの!?そんなのイヤよ!辛い!いやよ!いや!

 その時、両目を強烈な光が襲った。太陽を幾つも合わせたような光が、由加里の眼球を焼き尽くす!

――――ヒ!
 「ええええ??」
「由加里!よかった!目が覚めた!」
「 ――――――――ママ!」
 由加里は、あたかも、今の今、時間が始まったかのような目つきをした。眉を顰めて、前にあるものを睨みつける。信じられなかった。それが母親であることが、いや、自分の知覚能力を疑っていたのだ。しかし、次の瞬間、強ばった指と腕に、精一杯、アドレナリンを流すと、力一杯、その温かい存在を抱きしめた。音が全く聞こえない。時間が止まったように思える。しかし、その存在は、ぷるぷると震えていた。
 由加里には、それが言語に聞こえた。彼女を半ば、愛して、半ば、責めていた。しかし、両者は、同じことを言っているのだと、はじめて知った。
「由加里姉さん!」
「由加里!」
 郁子と父親も泣いていた。

 ほぼ、同時刻、この病院のエントランスにて、もうひとつの再会が行われていた。
「冴子!」
「・・・・・・・・!?」
 病院に滑り込んだ、冴子は、実母と奇蹟の再会を果たしたのである。それも、被害者の家族と、加害者という最悪の関係で・・・・・・・・・。
  あまりに似すぎている二人は、まるで鏡を見ているような錯覚に陥った。次の瞬間、身のうちから怒りがこみ上げてくるのを感じた。目の前に鏡がないことに気づいた冴子は燃え盛る炎を必死に鎮めることに努めた。目の前の人物は、怒りの感情をぶつけてやるほどの価値もないのだ。ふと、傍らにいる少年を見て、笑みを浮かべた。早速、この憎たらしい存在を攻撃する口実を得たと思ったのである。

「あーら? 愛人を伴ってこんなところに、なんの御用でしょうか?芸能週刊誌がほおっておかないでしょうね!?今から、連絡さしあげてもよろしいのですよ?」
  冴子はわざとシナを作って言った。
「冴子、あなたとやりあっている暇ない、由加里は!?あの子の具合が聞きたい」
  その一言に、冴子は完全に切れた。もはや、体裁を取り繕っている余裕はない。今から飛びかからんばかりの勢いで、まくし立てた。
「―――――――よ、よくも!あなたに、あの子のことを、そんな風に呼ぶ権利はないわ!」
  怒りに打ち震える冴子の顔は、真っ白だった。
「どんな顔を下げて、私たちの前にいられるの? 本当に厚顔無恥って、あなたのことを言うんだわ!」
 少年は、ただ震えていた。目の前の現実に、なすすべは、まったくなかった。
「だから、そういう意味において、あなたに謝るつもりはないって言っているのよ、由加里にもね ――。ただ、私は、この事故の加害者なの。だから、世の常識として、謝罪する義務があるのよ」

「か、加害者って?あなたが由加里を轢いたの!? ――――――」
 信じられない事実に、この世が終わるかと思った。もはや、怒りを通り越すあまり、笑いさえ生まれそうだ。
「し、信じられない!」
「事故はどこでも起こるのよ ――――さ、これから病室に行くんでしょう?」
 もはや、二の句が告げなかった。まだ若い冴子には、実母の本当の気持ちを斟酌することはできなかった。自分は、冴子と由加里の前で、母親を名乗る権利はない。それを完全に自覚しているからこそ、このような態度に出ているのである。
「こ、殺してやる!」

「あなたには何を言われてもしょうがないと思っている ――――」
 ついにホンネが出た。しかし、冴子は素直に受け取ろうとしなかった。
「な、何よ、その冷静な態度は!?」
「由加里は、あなたのこと知らないのよ」
「だから、安否だけを知りたい」
「で、否だったらどうするつもり!?この人殺し!」
 いかにも悔しそうに、言葉を投げかける。

 その時、意外な声が聞こえた。
「冴子姉さん!何しているの?由加里姉さんが ―――――――?!」
「郁子!?」
 郁子は、不思議な映像を視たような気がした。そして、それは、決して見てはいけないもののように思えた。しかし ―――――――――。
「郁子、ゆ、由加里がどうしたの!?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
 郁子は事実呆然のまま、立ち尽くすばかりだ。
「目が覚めたのね、部屋は何処?」
「397号室 ――――――」
 人形のような口が自動的に、動いただけだった。事実、1パーセントも感情は含まれていなかった。
「ねえ?! 聞いたでしょう?さっさと消えてよ! もう二度と、私たちの前に現れないで! この人非人!! あなたの汚らわしい顔なんて、二度と見たくない!一体、どれだけ人を傷付けたら気が済むの!? このアクマ!!」

 冴子はこの12年間、溜め続けてきた感情を一気に吐き出した。驚いたのは、郁子である。常に冷静な彼女しかしらない郁子が、いきなり、悪鬼のような姿を見せつけられたのである。それは偶像が破壊されたことを意味する。
 
 しかし、さすがは、冴子、この時すでに、思考回路は冷静さを取り戻していた。院内を歩きながら、郁子にどう説明しようか考えていた。

――――もはや、あの顔を見たら、肉親であることを疑うことはないだろう。認めたくないけど、由加里と私にそっくりなあの人非人!
「郁子、いい? どうして、あの人が由加里に似ていると思う?」
「親戚なの?」

―――しめた!
「そうよ、あの女は、汚らわしいけど私たちの伯母さんなの?」
「伯母さんなのに、どうして、そんな言い方するの」
 冴子は、待っていましたとばかり言葉を紡いだ。
「あの女はねえ、西宮医院の開院資金を持ち逃げしたドロボウ猫なの!」
「でも病院あるじゃない!?」
「それはねえ、パパの友達という友達をかけずり回って、やっと資金を得たの。大変だったんだから! もしもそれが集まらなかったら、パパの医者生命は終わっていたわね、信用はがた落ちで、もう二度と立ちあがれなかったわよ」

――――パパに口裏合わせてもらわないと。
 冴子は郁子を言いくるめながら、次の手を考えていた。
 郁子は、納得できないという顔で、姉を部屋に誘導するのであった。



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