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『由加里 60』
 さて、ここで、時間を少し、巻き戻してみようと思う。何、そんなに前のことではない。由加里が耐え難い陵辱を受けている最中のことである。
 その時、三人の少女が連れ立っていた。鋳崎はるか、海崎照美、そして、鈴木ゆらら。以上の三人が、アルミニウムの靴音を立てていた。そう、友人を見舞ったすぐ後のことである。
 ここは、由加里が入院している病院の表玄関、いわば、ロビーのような空間である。さて、三人が行った見舞いとは、どのようなものだったのだろう。
 ちなみに、それは、同時に、行われたわけではないが、たいへんに、友情という点において、比類ないくらいに豊かだった。
 しかし、それにしては、三人三様、複雑な色を顔に乗せている。

 時間は午後3時半を回ったころである。三人は、病院を出ると、まず、はるかが口を開いた。
「まだ、こんな時間か」
「西沢さんとの約束は?」
 照美が口をきいた。意外そうな顔を隠さずに、はるかは続ける。
「6時半に、西朝幸駅だ ――――」
「じゃあ、だいぶあいちゃったわけだ、どうして、時間つぶそうか。そうだ、誰かさんと、殴り合いでもして、過ごすかな、どうせ、ここ、病院だし ・・・・・・」
なんと、照美は、場外乱闘を始めたのである。
「!?」
 ゆららは、つぶらな瞳に、おびえの色を乗せた。その目は、たしかに、いじめられていたときのそれと同じだった。
「ゆららちゃん・・・・・・・」
「いえ ―――――」

 ゆららは、アルマジロのように畏まっている。その態度はとても、同級生に対するものではない。照美は後悔した。彼女は、まだ、自分が無意識に出しているオーラに気づいていなかった。
 一方、ゆららの方では、完全に怯えきっていた。
 おそらく、彼女の由加里に対する遇し方を、知っているからこそにちがいない。どれだけ説明しても、わかってもらえないらしい、しょうがない。それならば、実体験として学習させるしかない。

 虐待された小動物を、なつかせるように、少しづつキャラメルを塗り込んでいく。そう、生まれたときから、いじめつづけられた動物たちは、なかなか、人間になつこうとしない。だから、バウムクーヘンを重ねるように、情愛を教えていくのだ。
 照美は、自分では、優しい笑顔を注ぎ込んでいると思っている。しかし、それが必ずしも、うまくいってないことがわかった。ゆららは、笑っているが、それが心からのものでないことは、明白だった。
そこで、趣向を加えてみることにした。
「遊びに行こうか ―――」
「え!?」
 それは、ゆららにとって、青天の霹靂だった。友だちから、誘ってもらえることである。ただ、それだけのことが、彼女にとっては千金の値があった。しかし、何処か、現実感が薄い。まるで雲の上を歩いているかのようだ。
 そんな少女を大地におろしたのは、はるかの低い声だった。

「カラオケでも行くか」
 はるかである。
「?!」
 よもや、金銭が必要な場所へ、友だちどうしで、行くなど、一般人にとってみれば、ハワイに行く体験に匹敵する。とても心躍る提案だった。
 しかも、はるかが提案したのは、彼女はるかの低い声だった。はるかの低い声だった。これはゆららが唯一得意なことなのである。きっと、音楽のテストの時のことを、憶えていたにちがいない。驚いたことに、ほんとうに、自分の気を遣ってくれている。自分なんかの好みを知っていてくれる。

 もしかしたら、この人たちは、本当に友だちになってくれるのかもしれない。半信半疑ながらも、淡い希望のために、心臓が口から飛び出そうになった。
 長きに渡って、いじめられ続けた人間のかなしさである。しかも、本人は、いじめられていることを認めていなかった。彼女自身に内包されている何かが、それを押しとどめていた。自尊心? 淋しさとかなしさ? 家族への思い? それらが幾重にも、組み込まれて、複雑な迷宮を構成している。

 一体、何が何なのかわからない。自他の区別すら、ままならない。
 人格の中心が損なわれて、自我が危うくなっている。そのような人間が、明日を信じられるのか。今度目覚めたとき、朝日が昇っていると、思えるのか。
 そこまで、追いつめられたとしても、人間は、プラスの方向に、思考を進めることができる。このときのゆららは、その好例だったと言えよう。
「はい・・・行きたいです」
「うん、だよ! ゆららちゃん」
「は・・・うん」
 ゆららは、はにかみながらも、そう返事をした。その微笑んだ顔を、照美は本当に美しいと思った。しかし、彼女は、複雑な気持ちを心の棚に押し込んでいた。

――――私、妹だと思った。
 それは、彼女を好ましいと思っていながら、その反面、見下していることだった。由加里に対する態度だけを見ていれば、とても信じられないが、これが彼女の性格の別の面である。クラスでこれを知っているのは、おそらく、はるかぐらいだろう。

 一見、この美少女は、周囲に、冷徹な印象を見る人に与える。しかし、その彫像のような仮面の下で、温かい血液を、繊細なまでに、細い血管に流していたのである。
「ゆららちゃんは、どんな歌が得意?」
「ぴんきーとか、いいな」
ぴんきーとは、最近、売出し中のアイドル歌手である。
 照美は、ゆららが、はじめて彼女自らため口を遣ったことを、素直に喜んだ。
「あ、そうだ、500円で大丈夫・・・・かな?」
「大丈夫だよ」
 照美は軽く答えたが、ゆららの顔を見ると、真顔になった。

 少女がポケットのなかで、握っている500円硬貨は、いわくつきだったのである。
 その小さな掌で、硬貨のギザギザを舐めながら、少女は、何かと会話をしていた。しかし、はるかと照美には、その声は聞こえなかった。
「な、なんでもないよ」
 それは、なんでもないという顔ではなかったが、二人は、それ以上、追求することはできなかった。
 ゆららは、こう考えていたのである。

―――今日は、夕飯抜きね。
 その500円玉は、その日のエンゲル係数そのものだった。なんと安上がりなのことか。一番喜んでいるのは、彼女の母親だろうか。

―――ママ、ごめんね・・・・・・・。せっかく・・・・。
 少女は心の中で、母にそっとわびた。彼女が、辛い仕事で稼いだ血と涙が、この小さな硬貨に集約されているのだ。
「それにしても、ゆららちゃん、歌うまいよね。この前のテストの時、驚いちゃった ――」
「そんなことないよ」
 少しばかり、声が落ち着いてきたので、照美はほっとした。
「カラオケ、そうとう行ってるんでしょう」
 照美は、あいにくと、彼女の家の経済状況を知らなかった。しかし、すぐに表情を凍らせたことから、何かを感じ取っていた。
「実は、すごい秘密があるんだ ―――」
「え? 何?何?」

  はるかと照美は、まるで小学生のように、ワラワラと集まってくる。二人の視線は、ゆららの額あたりに集まっている。そこに帯電するように、熱が集まってくる。少女は、このとき、自分が意識を離れて、自身を達観していることに気づかなかった。あたかも、幽体離脱をするように、意識が、肉体から、離れて自己を観察しているのである。
 ゆららは、二人の友だちと和やかに談笑している。

――――これは、はたして、真実だろうか。
「わ、わたしね、合唱団に参加しているんだ。でも、みんなには内緒だよ ――」

――――高田さんたちに、見付かったらどんな目に合わされるかわからない。彼女たちには知られたくない。
 ゆららは、楽しい時間を過ごしながらも、錯綜する思考に振り回され続ける。
それでも、笑顔を絶やさないようにしなければならない。そうしないと、ふたりをつなぎ止めておけないと考えたのだ。どうして、素直に、笑顔でいられないのだろう。
 
 少女は、普通の人間がしなくていい苦悩に、頭を悩ませていた。
 
 友だちに囲まれて、しぜんに笑えないというのは、どう考えてもおかしい。まるで、常に銃を突きつけられているように、ぎこちない。あまりに、情けない気持ちに陥るのだった。
「でも、だから上手いんだね、ゆららちゃん」
 これは、けっして、照美のお世辞ではない。母親の薫陶を得て、音楽を嗜んできたゆえの、言葉である。
「そ、そんなこと・・・・・」

――――海崎さんはすごい。
 そう言いかけて、それ叶わないことがわかった。実は、音楽の実技テストを休んだために、彼女の歌声を聞くという恩恵に浴することができなかった。そして、その台詞を言うことができなかった。だから、聴いてもいない歌声を誉めることはできなかった。しかし、普段から、ピアノを受業で弾いていたので、その技術の確かさは、熟知していた。

「ほら、ついたよ」
 店頭にでかでかと貼られた「1時間、470円」という謳い文句が、ゆららを安心させた。
ヨーロッパ辺りの宮殿を、モチーフしたと、大声で言うのも憚られる。そんな陳腐な外見は、二人に何の感慨も与えなかった。
しかし、ゆららは、感動しまくっていた。
「どうしたの? 早く中に入ろう」
 固まってしまったゆららの背中をポンと押す。すると、まるでおもちゃのボタンを押されたかのように、きらきらと笑い出す。それが、例え、不自然だったとしても、照美は、それを単純に、受け入れることにした。
 受付への対応は、はるかが引き受けていた。彼女は、今年大学に入ったばかりだったが、どのように、三人を見ただろうか。たしかに、受付などという職種は、多くの客を相手にする。しかし、記憶の何処かに、滞らせる何かを、三人に発見していた。

 それは、彼女の主観からすれば、高校生と小学生という奇妙な取り合わせである。姉妹ということもあろうが、どう見ても、三人三様で全く、似通っていない。そのことが、彼女の記憶に残らせた理由であろう。
 もちろん、三人とも中学2年生の女の子である。しかし、端からみれば、決して、そのように見えなかった。

―――もしかしたら、後で刑事に事情を訊かれるかもしれないわ。
 当然のことながら、女子大生は、もはや、夢見る夢子という年齢ではなかったが、かつてに物語を捏造(つく)っていた。おそらく、この後、何らかの事件に巻き込まれて、目撃者として、警察に遇されることを想像しているのだろう。そのために、次ぎの客を多少なりとも、待たせることになった。
「ちょっと、何をしているんだ!?」
「あ、申し訳ございません ――――」
「おい、そこまで言うことないだろう?」 
 髪を赤く染め、逆立たせた少年を、嗜めたのは、長身の女性である。黒色のシックなスーツに、細身を包んだその姿は、他の三人とあきらかに一線を画していた。言うまでもなく、他の三人は、少年に大同小異の恰好をしていた。
――――今日は、ほんとうに、変な客が多いわねえ。女教師に、不良少年少女? 何ていう取り合わせよ。
 女子大生は、客に対応しながら、思ったものだ。
 実は、四人は、同年齢である。

「ねえ、リーダー、オレたち、こんなことしてていいのかな?」
「うまくいかないときは、何をしてもだめなものだ。こんな時はカラオケにかぎる」
「それにしても、地元に戻って、カラオケとはね ――」
「でも、僕は地元やないで、冴さん」
 その言い方から、あきらかに少年が、関西人であることがわかる。
「当たり前だ。日本人はそんな言い方はしないさ」
「何? 大阪は日本やないっていうか?」
 しかしながら、いかなるときも、口調は柔らかいのが、関西人の特長である。
 
 西宮冴子は、少年を見下ろした。彼は、冴子の肩ほどしか、背丈がない。少年にとってみれば、冴子は生まれながらの犯罪者なのである。159センチほどしかない彼には、冴子は、実に忌むべき存在だったが、その反面、別の世界においては、常に側にいたい、いや、仕えていたいほどに、尊敬している相手であった。
 犯罪者と言ったが、それは、彼らの側に発生したのである。表だって、警察が動くとか、マスコミに書き立てられるということには、ならなかったが、道徳的な面においては、それは許されざる犯罪だった。
 しかも、それは一番、四人が信頼している人物だったのだ。しかも、冴子にとってみれば・・・・・。

――――しかし、あいつがあんなことに・・・・・・・・。
 少年は、おもわず、その言葉が呑みこんだ。それは、四人の間では、タブーだったからだ。
 
――――冴えさんがヴォーカルやればいいんだよ! 
 それは、赤い髪の少年の述懐だったが、彼とて、それを音声化する勇気はなかった。
「さあ、歌うぞ!」
 冴子は、回廊を歩く足を早めた。壁から、天井、それに床まで、下世話な色にペインティングされている。それは四人が置かれている状況を暗示していた。しかし、冴子をはじめてとしてそれを言葉にする、いや、意識に立ちのぼらせることすら、控えていた。
「何?」 
 その時、冴子の絶対音感をかすかに、刺激した。それは限られた生き物しか、受け取れない超音波のように、空間を、遠慮がちに飛んでいた。あたかも、冬の小虫のように、見えるか見えないかの、境界を彷徨っていた。それを受け取ったのである。しかし、この時は、それを重大なことと思っていなかった。彼女の頭のなかでは、すでに好きな曲のイントロが始まっていた。歌う意欲に充ち満ちていたのである ――――――この女教師は。








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